本記事では、Excelで丸の数を数える方法を説明します。多くの方がCOUNTIF関数を使うと思いますが、思わぬ落とし穴があるので要注意です!
- 特定データが入力されているセルの数を関数でカウントしたい
おそらく、この記事をご覧の方はExcel関数の初心者の方が多いのではないでしょうか。
Excelで丸の数を数えるのは、そんな方にピッタリのケーススタディです。

関数って難しそうだけど、勉強してみたい!
以下では関数の使い方から特定データの数をカウントする方法までを説明します。
元SEの私が丁寧に解説するので、ぜひご覧ください。
Excelまとめ記事Excelの使い方講座|基本操作を覚えて脱・初心者!

- 大手通信企業の元SE
- Web業界歴10年のWeb解析士
- Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)
Excelで丸の数を数える方法|COUNTIFには意外な盲点あり!

本記事ではまず、COUNTIF関数を使ってExcelの丸の数を数えていきます。
さらに、もっと便利なCOUNTIFS関数とSUMPRODUCT関数についても説明します。
Excelに慣れていない方に向けて関数の使い方も説明していきますが、そうした説明は不要な方は読み飛ばしてください。
以下のリンクから各関数の該当箇所にジャンプできます。
それではさっそく、関数の使い方から見ていきましょう!
Excel関数の基本的な使い方
そもそも関数とは、Excelの作業効率を高めるツールのことです。
たとえばセルのカウント、検索、大量のデータ集計など、面倒な作業を自動で計算してくれます。
また、関数に敷居の高さを感じている人もいることでしょう。
そうした人は『関数=プログラミング』と勘違いしているかもしれませんが、両者は似て非なるものです。
プログラミングよりもずっと手軽で簡単に利用できるので安心してくださいね。
それではさっそく見ていきましょう!

関数の基本的な構造はこんな感じです。
=関数名(引数)
関数名とはSUMやVLOOKUPなどのことです。
しかし、引数っていうのがよく分かりませんよね。
多くの記事では『引数とは関数に渡される値』と説明されていますが、そもそもここがピンとこないと思います。
引数
を分かりやすく言い換えると、『その関数を動かすために必要な情報』のことです。
たとえば、SUM関数の構文(関数の書き方のこと:例えばSUM関数の場合、「カッコ内には計算する範囲を記載すること!」と決められている)はこんな感じです。
=SUM(範囲)
SUM関数は合計を計算する関数です。そのため、計算範囲を関数に教える必要があります。
そのため、引数(関数を動かすために必要な情報)としてセル範囲が必要なんです。
例を挙げると=SUM(A1:A10)
という関数を作成した場合、カッコ内のA1:A10
が引数になります。
これによって、SUM関数がセルA1からA10までの合計を計算してくれます。
以上が関数の基本的な考えです。
それではいよいよ、Excelで丸の数を数えるためのオーソドックスな方法であるCOUNTIF関数を紹介します。
COUNTIF関数|Excelで丸の数を数える

ではいよいよ、Excelで丸の数を数える方法を具体的に見ていきましょう!
今回は次のような表を使います。

条件に該当するセル(上の表の場合、○が入力されているセル)の数をカウントするCOUNTIF関数を使って、黄色のセルに丸の数を表示させます。
COUNTIF関数の構文は次のとおりです。
=COUNTIF(範囲, 検索条件)
まず黄色のセルにすべて半角で=COUNTIF(,)
と入力してください。

そして、構文=COUNTIF(範囲, 検索条件)
における引数の『範囲』の部分にカーソルを動かしましょう。
○が入力されたセル数をカウントする範囲はB2からB6です。なので、この範囲のセルを選択すると、下のようになります。これで第一引数の入力はOKです。

次は第二引数の入力です。
構文=COUNTIF(範囲, 検索条件)
における引数の『検索条件』の部分にカーソルを動かしましょう。
その状態で"○"
と入力します。これで第二引数の入力も完了しました。

ポイントは、○をダブルコーテーション”
で囲むことです。
○は数値ではなく文字列なので、『これは文字列ですよ!』とExcelに認識させる必要があるので、"○"
と入力します。
文字列を”
で囲むのは、Excelだけでなくプログラミングにも共通する大事なルールなので覚えておいてください。
そしてEntrerキーを押すとこうなります。

上記の結果を日本語化すると、「第一引数で指定した範囲に存在する、第二引数で指定した”○”のセル数を計測した」ということになります。
COUNTIF関数でのカウントには落とし穴が!

COUNTIF関数はめちゃくちゃ便利ですが、注意点が2つあります。
この2つを意識していないと、実際の数よりも少ない計測結果になってしまいます。
では具体的に見ていきましょう
注意点その1:○以外の文字が入力されているとカウントされない
下のような感じでセル内に丸以外の文字が入力されていると、期待していた結果を得られません。

この原因はCOUNTIF関数の仕様にあります。
COUNTIF関数は、第二引数と「完全一致」するものを検索します。
つまり、=COUNTIF(B2:B6,"○")
という場合、○のみ入力されたセルだけを探す仕様です。
もし「あ○」や「ああ○いい」など○以外の文字が入力されているセルはカウント対象外となります。
そのためちょっとした一工夫が必要です。
COUNTIFの第二引数を"*○*"
にしてください。

これで○以外の文字が入力されていても、セルの数を正しくカウントしてくれるようになります。

ちなみに*
はワイルドカードと呼ばれており、任意の文字のことです。
つまり、『*○*』は、『○の前後にはどんな文字が入力されていてもOK』という意味になります。
注意点その2:色んな種類の〇に注意!
次の集計結果をご覧ください。

明らかに◯が3つあるのに、集計結果には1となっています。
この原因は、◯には色んな種類があるからです。

たとえば、COUNTIF関数の引数に「記号」としての○を指定すると、「漢数字」としての○はカウントされません。
人間の目には、「記号としての○」と「漢数字としての○は」は同じに見えますが、Excelやパソコンには全く異なるものとして扱います。
そのため、上記のようなトラブルが発生します。

こうした事態を避けるには、プルダウンで入力させるのが有効です。
注目の便利な関数2つ|COUNTIFS関数とSUMPRODUCT関数
上記ではCOUNTIF関数を取り上げてきましたが、この関数で指定できる検索条件は1つだけです。
しかしビジネスの現場ではもう少し複雑な集計が必要になります。
そこでここからは、より発展的なCOUNTIFS関数とSUMPRODUCT関数を紹介します。
COUNTIFS関数よりも細かな設定が可能なので、様々な条件に合致するセルの計測が可能です。

両者の違いは次の点です。
COUNTIF | SUMPRODUCT |
---|---|
条件指定がわかりやすい | 別ブックを参照できない条件指定がわかりにくい | 別ブックを参照できる
ご覧のとおり一長一短です。
正直なところ、SUMPRODUCT関数は条件指定の内容が分かりにくいんですよね…
分かりやすさの観点から、まだ関数に慣れていない方はCOUNTIFS関数の方をおススメします。
しかし、SUMPRODUCT関数に挑戦して、Excelスキルを一気に上げるというのもアリです。
それでは細かく見ていきましょう!
COUNTIFS関数|Excelで丸の数を数える方法
COUNTIFS関数は、複数の条件に一致するセルの数をカウントします。
構文は次のとおりです。
=COUNTIFS(範囲1, 検索条件1, 範囲2, 検索条件2, …)
このCOUNTIFS関数使って丸の数を数えるにはどうすればよいでしょうか?

この場合、=COUNTIFS(B2:B6,"〇")
となります。
COUNTIF関数で丸の数を数える場合と同じ考え方なので、分かりやすいのではないでしょうか。
それでは、COUNTIF関数を使った応用編として、複数条件を指定したセルのカウント方法を見てみましょう。
COUNTIFS関数|複数条件で特定セルをカウントする方法
たとえば次のような、ある商品に関する各店舗の販売データがあったとします。

この表から次のような複数条件でカウントしてみます。
- 新宿店で購入
- 性別は男性
これを実現するためには、=COUNTIFS(A2:A7,"新宿店",B2:B7,"男性")
と入力します。
図で説明します。

つまり、緑の部分と青の部分を同時に満たすセルをカウントした結果が2となったわけです。
さらに、条件を増やしてみましょう。
- 新宿店で購入
- 性別は男性
- 購入金額が1,000円以上
これを実現するためには、=COUNTIFS(A2:A7,"新宿店",B2:B7,"男性",D2:D7,">=1000")
と入力します。
この結果は1となります。
ポイントは、1,000円以上の顧客を">=1000"
と表現する点です。
不等号の記号一覧は以下のとおりです。
記号 | 意味 |
---|---|
= | 等しい |
> | 大きい(例えば、500円より大きい:”>500″) |
< | 小さい(例えば、500円未満:”<500″) |
>= | 以上(例えば、500円以上:”>=500″) |
<= | 以下(例えば、500円以下:”<=500″) |
>< | 等しくない |
たとえば、『~以下』という場合は<=
として下さい。
なんとなく関数の使い方が分かってきたのではないでしょうか?
つぎはSUMPRODUCT関数についてみていきます。
SUMPRODUCT関数|Excelで丸の数を数える方法
SUMPRODUCT関数の構文は以下のとおりです。
=SUMPRODUCT(配列1,配列2, …)
配列1と配列2の対応する要素同士の積を計算したあと、それぞれの積の結果を合計します。
この機能を利用すると、複数の条件に一致するセルの数をカウントが可能になります。
それではさっそく丸の数を数える方法を…といきたいところですが、この関数は使い方が少しややこしいので、一般的な使い方を先に説明します。
SUMPRODUCT関数の基本
SUMPRODUCT関数の構文をもういちど確認してみましょう。
=SUMPRODUCT(配列1,配列2, …)
こんなことを思いませんでしたか?

配列ってなに?なんか難しくなってきた…
そう思いますよね。でも難しく考えなくてOK!
配列とはセルの集まりのことです。
↓の表の場合、赤枠や青枠内のデータを配列として利用します。

ではまず、SUMPRODUCT関数の代表的な使用例を説明した後、応用編として特定データを数える方法をお伝えします。
たとえば次のような表があるとします。

総売り上げを求めるとき、品目ごとに売り上げを計算して、その合計をSUM関数で計算する人が多いのではないでしょうか。
しかし、SUMPRODUCT関数を使えば、品目ごとに計算しなくても総売り上げを計算できます。
ためしに、=SUMPRODUCT(B2:B5,C2:C5)
と入力してみてください。

すると4400
という計算結果が返ってきて、一発で総売り上げを求めることができました。
ただ、SUMPRODUCT関数の動き方がよく分からないので、もう少し詳しく解説します。

今回の計算では、=SUMPRODUCT(B2:B5,C2:C5)
と入力しました。
引数の配列1にはB2:B5
を、配列2にはC2:C5
が指定しています。
これは、「B2とそれに対応するC2を掛け算、B3とそれに対応するC3を掛け算、B4とそれに対応するC4を掛け算、B5とそれに対応するC5を掛け算した後、それぞれの掛け算の合計を求める」という意味になります。
その結果、4400
という計算結果が表示されました。
それぞれの積を計算して、さらに全体の和を求めるといった煩雑な操作が不要なので、けっこう便利です。
SUMPRODUCT関数|複数条件で特定セルをカウントする方法
それでは、本題です。
上記のようなSUMPRODUCT関数の動き方をふまえて特定セルの数え方を見ていきましょう。
たとえば、ある商品に関する各店舗の販売データがあったとします。

COUNTIFS関数のときと同じように、この表から新宿店で購入した男性の数をカウントしてみます。
これをカウントさせるためには、=SUMPRODUCT((A2:A7="新宿店")*(B2:B7="男性"))
と入力します。
これを図で説明します。

A2~A7の中に新宿店
という文字列があればTRUE(真)と判定します。このTRUEは1と表されます。
もし新宿店
という文字列がなければFALSE(偽)と判定します。このときは0と表されます。
同様にB2~B7の中に男性
という文字列があればTRUE(真)と判定します。このTRUEは1と表されます。
男性
という文字列がなければFALSE(偽)と判定します。このときは0と表されます。
上の表の場合、A3とB3はそれぞれTRUE(真)なので、1*1=1です。
同様に、A6とB6はそれぞれTRUE(真)なので、1*1=1という計算結果です。
A2 渋谷店(FALSE:0) | B2 女性(FALSE:0) | 0*0=0 |
A3 新宿店(TRUE:1) | B3 男性(TRUE:1) | 1*1=1 |
A4 恵比寿店(FALSE:0) | B4 女性(FALSE:0) | 0*0=0 |
A5 渋谷店(FALSE:0) | B5 男性(TRUE:1) | 0*1=0 |
A6 新宿店(TRUE:1) | B6 男性(TRUE:1) | 1*1=1 |
A7 渋谷店(FALSE:0) | B7 女性(FALSE:0) | 0*0=0 |
SUMPRODUCT関数はそれぞれの積を合計するので、1+1=2、つまり新宿店で購入した男性の数は2となります。
さらに、新宿店での購入金額が1,000円以上の男性の数をカウントする場合はこうなります。
=SUMPRODUCT((A2:A7="新宿店")*(B2:B7="男性")*(D2:D7>=1000))
A2 渋谷店(FALSE:0) | B2 女性(FALSE:0) | D2 1,000円(FALSE:1) | 0*0*0=0 |
A3 新宿店(TRUE:1) | B3 男性(TRUE:1) | D3 800円(FALSE:0) | 1*1*0=0 |
A4 恵比寿店(FALSE:0) | B4 女性(FALSE:0) | D4 500円(FALSE:0) | 0*0*0=0 |
A5 渋谷店(FALSE:0) | B5 男性(TRUE:1) | D5 1,500円(FALSE:1) | 0*1*1=0 |
A6 新宿店(TRUE:1) | B6 男性(TRUE:1) | D6 5,500円(FALSE:1) | 1*1*1=1 |
A7 渋谷店(FALSE:0) | B7 女性(FALSE:0) | D7 900円(FALSE:0) | 0*0*0=0 |
この結果を合計すると1となります。
つまり、新宿店での購入金額が1,000円以上の男性の数は1人という結果を得られました。
SUMPRODUCT関数で丸の数を数える方法
それでは、最初にお伝えした丸の数を数える方法(下表参照)はどうなるでしょうか?

この場合、=SUMPRODUCT((B2:B7="〇")*1)
となります。
SUMPRODUCT関数だとかえって理解が難しくなってしまいました…。
COUNTIF関数かCOUNTIFS関数の方が簡単で良さそうですね。
これに慣れてきたら、Excel関数の初級レベルはクリアしたといっていいと思います!
【要点を1分で】
Excelで丸の数を数える方法

以上、「Excelで丸の数を数える方法」と題して、COUNTIF関数、COUNTIFS関数、SUMPRODUCT関数の使い方をお伝えしました。
COUNTIF関数を使用した、丸の数を数える最もオーソドックスな方法をおさらいします。

ざっくりおさらい!
まず黄色のセルにすべて半角で=COUNTIF(,)
と入力してください。

そして、構文=COUNTIF(範囲, 検索条件)
における引数の『範囲』の部分にカーソルを動かしましょう。
その状態でB2からB6セルを選択しすると、下のようになります。これで第一引数の入力はOKです。

次は第二引数の入力です。
構文=COUNTIF(範囲, 検索条件)
における引数の『検索条件』の部分にカーソルを動かしましょう。
その状態で"○"
と入力します。これで第二引数の入力も完了しました。

そしてEntrerキーを押すとこうなります。

それではまた、次の記事でお会いしましょう!

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