現代においてGPSは様々な場面で活用されています。その正式名称は、全地球測位システム(Global Positioning System)です。
しかし、多くの方は、GPSの原理や仕組みについて、1機の人工衛星から位置情報を受信するイメージを持っているのではないでしょうか。

しかし、話はそこまで単純ではありません。
この記事では、GPSの原理と仕組みをわかりやすく、中学生でもわかるように紐解きます。
『なぜ4つの人口衛星が必要なのか?』という核心に触れることで、位置情報のズレに対する不安も解消できるはずです。
一般教養としてGPSのことを知りたい方は、ぜひご覧ください!
また、GPSは子供の見守りデバイスにも活用されています。下の記事では、そうした機器の選び方ガイドをお伝えしているので、こちらもぜひチェックしてみて下さい。

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GPSの仕組みと原理をわかりやすく!なぜ4つの人工衛星が必要なのか?
GPSによる位置情報の取得には、4機の人工衛星から情報を取得して現在地を計算しています。

<GPS:Global Positioning System(汎地球測位システム)>
4~5個以上の人工衛星の電波を同時に受信して位置を正確に求めるGNSS(Global Navigation Satellite System-汎地球測位航法衛星システム)の一つで、船舶や航空機等の航法支援システムとして1970年代に米国で開発。上空視界が開けている場所であれば、全世界で共通に利用可能。国土地理院では、電子基準点によるGPS連続観測、精密測地網測量、地殻変動測量、基準点測量等に利用し、複数の受信機により㎜単位の高精度で測位を実施。引用:国土地理院
もし、GPSデバイスをお持ちなら、そのデバイスの仕様を見てみてください。
対応している人工衛星として、GLONASS衛星、BeiDou衛星、Galileo衛星、準天頂衛星GPS(※)など複数のものが記載されているのはそのためです(準天頂衛星とは、特定地域の上空に軌道をとる人工衛星のこと)。

1個の衛星から位置情報を取得すればよさそうだけど…
以下では、こうしたGPSの原理を中学校レベルの数学知識で説明していきます。
少しだけ数学の知識を使いますが、頑張って付いてきて下さいね!
ちなみに、こうした技術を活用しているのが子供の位置情報を確認できるGPSデバイスです。
小学生のお子さんがいる方や親の見守りに関心のある方はぜひご覧ください。
三平方の定理で納得!位置を特定する「距離」の計算式


まず、子供の位置情報を測定する場合を考えてみましょう。
人工衛星と子供の位置関係を分かりやすく考えるために、次のような座標軸に置いてみました。
人工衛星の位置を原点(0,0,0)とすると、子供の位置は(x,y,z)となります。


そして、人工衛星と子供の直線距離をrとします。
すると、三平方の定理を何回か使うと、r² = x² + y² + z²となります。


この計算式を初めて見たときに「なんて美しい解決策なんだ」と感動したのを覚えています。
本来、目に見えない『場所』という曖昧な情報を、衛星との『距離』という数字に変換して解いてしまう。この「理詰めで場所を突き止める」感覚こそ、GPSの面白さであり、信頼性の源なんです。
さて、rとは人工衛星と子供の持つGPSデバイスとの距離のことです。
人工衛星と子供の持つGPSデバイスは電波を通じて通信します。つまり、電波の速さと通信に要する時間が分かれば距離rを計算できることになります。
そして、電波の速さは光速と同じです。
つまり、30万km/sのスピードで人工衛星からGPSデバイスへ情報が到達します。
このときに要した時間をtとすると、r = 30万km/s × tが成立します。距離=速さ×時間ですね!
これをさきほど三平方の定理から導き出した、r² = x² + y² + z²に代入していきましょう。


そうすると、全体としてこんな感じになります。


これでGPSの仕組みと原理の説明の7割が終わりましたが、ここからがヤマ場です。
もうちょっとなので、頑張りましょう!
さて、話が少しそれますが、n個の未知数の値を求めるとき、n個の方程式があればOKという話を聞いたことがあるでしょうか?
たとえば、a,b,cの3つの値を求める場合、a,b,cに関する方程式が3つ必要になります。
- a+b+c=6
- 2a+3b−2c=11
- 3a−b+c=4
これを解くと、a=2 、b=3、c=1です。
この例の場合だと、3つの未知数a,b,cに対して、a,b,cに関する方程式が3つあったので解を求めることができました。
もし、a,b,cに関する方程式が2つだと解くことができません。
要は、『n個の未知数の値を求めるとき、n個の方程式が必要』ということを頭に入れておいてください。
では本題に戻ります。
人工衛星と子供の位置関係には、(30万km/s × t)² = x² + y² + z²という方程式が成り立っていましたね。
この方程式には4つの未知数(t,x,y,z)があります。
つまりこの方程式を解くには、式が4つ必要ということになります。


1機の人工衛星につき方程式が1つ成立します。
すなわち、4つの未知数(t,x,y,z)を求めるには方程式が4つです。
つまり、人工衛星が4機必要になるのです!次章ではさらに4機目が必要な理由を深堀していきます。
さて、ここまででお腹いっぱいの方も多いと思いますが、なんとなくでもGPSの原理や仕組みをお分かりいただけたでしょうか?
こうしたGPSの仕組みや原理を理解すると、スペック表に書かれた『高精度』の裏側がよく見えるようになります。
GPSの原理を理解すると、スペック表にある『○秒更新』や『○種類の衛星に対応』といった言葉の本当の価値が見えてきます。
この仕組みを踏まえたうえで、元SEが技術的に『これなら安心』と太鼓判を押す最新機種を、以下のガイドで厳選して紹介しています。
「4つ目の衛星」が位置ズレを防ぐカギ


上記のように理論上、3次元の座標(緯度・経度・高度)を特定するだけであれば、3機の衛星があれば計算可能です。
しかし、現実のGPS測位において4個目の人工衛星は絶対に欠かせない存在です。その理由は、GPSデバイスが持っている「時計」のわずかな誤差を修正するためです。
衛星には数億円するような超精密な「原子時計」が積まれていますが、私たちのスマホに入っているのは安価な水晶発振器です。
例えるなら、オリンピック公式時計と、100円ショップの置き時計くらい精度の差があります。
この絶望的な差を埋めるために、4機目の衛星が「はい、今の正解時間はこれだよ!」と常に時刻を上書きしてくれているのです。この同期システムがあるからこそ、私たちは安価なデバイスで正確な位置を知ることができるわけです。
- ・「10億分の1秒」のズレが命取り
-
GPSは、衛星から電波が届くまでの「時間」を測って距離を計算します。電波は光と同じ速さ(秒速30万km)で進むため、時計がたった「100万分の1秒」ズレるだけで、距離にして約300メートルもの巨大な誤差が生じてしまいます。
- ・高価な原子時計 vs 安価なGPS端末
-
人工衛星には、誤差が極めて少ない超高性能な「原子時計」が搭載されています。一方、私たちのスマホや子供見守りGPSに原子時計を積むのはコスト的にもサイズ的にも不可能です。そのため、端末側の安価な時計には必ずわずかな「時刻のズレ」が発生します。
- ・4つ目の方程式で「ズレ」を解く
-
この「時刻のズレ(t)」という4つ目の未知数を解くために、4つ目の方程式、つまり4機目の衛星からの情報が必要になるのです。4機目のデータを使って計算することで、端末側の時計を衛星の正確な時刻に強制的に同期させ、正確な位置を弾き出しています。
「4機以上の衛星が見える場所ほど精度が安定する」と言われるのは、この時刻修正がより精密に行われるようになるからなのです。
→📝GPSがずれる理由 | 子供の見守りGPSの精度と“正しい見守り方”
GPSの欠点
最大の弱点は「障害物」と「電力消費」です。
GPS衛星からの微弱な電波は、厚いコンクリートや金属に遮られると届きません。
また、常に衛星を探し続ける動作は電池を激しく消耗させます。
いわばGPSは、「非常に燃費の悪い、外専用の耳」のようなものです。
屋内ではWi-FiやBluetoothなど別の技術で補うのが一般的です。
GPSの原理と仕組みに関するよくある質問(FAQ)


ここまでGPSの原理を解説してきましたが、日常で感じる「素朴な疑問」を3つに絞ってお伝えします。
もう少し頑張ってください!
「実際にどのGPS端末を選べばいいの?」と迷われた方は、元SEの視点で通信安定性とバッテリー持ちを比較した↓の記事も併せてご覧ください。
まとめ)GPSの原理や仕組みをわかりやすく説明!


以上、GPSの原理と仕組みをわかりやすく解説しました。
4つの衛星を使って高度な計算を行っているからこそ、私たちは日常で便利に位置情報を利用できています。
しかし、その原理上、建物の中やビル影ではどうしても誤差が生じることがあります。
その仕組みがわかれば、地下でズレても「あ、今は衛星との通信が遮断されているんだな」と冷静に対処できるようになります。
お子さんと一緒に考えてみるのもいい勉強になるかもしれませんね!


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