- GPSの仕組みを知りたい
- 複数の人工衛星を使う理由が分からない
今やGPSデバイス(Global Positioning System)はいろんな場面で活用されています。
しかし、どうやって位置情報を取得しているのかご存知ですか?
おそらく、多くの方はこんなイメージを持ていると思いますが、そこまで単純ではありません。

本記事では方程式を使って、その仕組みを説明します。
一般教養としてGPSの仕組みを図解でわかりやすく知りたい方は、ぜひご覧ください!

- 大手通信企業の元SE
- Web業界歴10年のWeb解析士
- Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)
GPSの仕組みを図解でわかりやすく!位置情報の取得には、4つの人工衛星が必用!
多くの方は、1機の人工衛星から位置情報を受信しているとお考えかもしれません。
しかし実際は、4機の人工衛星から情報を取得して現在地を計算しています。

もし、GPSデバイスをお持ちなら、そのデバイスの仕様を見てみてください。
対応している人工衛星として、GLONASS衛星、BeiDou衛星、Galileo衛星、準天頂衛星GPS(※)など複数のものが記載されているのはそのためです。

1個の衛星から位置情報を取得すればよさそうだけど、なんで?
以下では、そのあたりを中学校レベルの数学知識で説明していきます。
少しだけ数学の知識を使いますが、頑張って付いてきて下さい!
人口衛星とGPSデバイスの位置関係を座標軸上で考える
まず、子供の位置情報を測定する場合を考えてみましょう。
人工衛星と子供の位置関係を分かりやすく考えるために、次のような座標軸に置いてみました。
人工衛星の位置を原点(0,0,0)とすると、子供の位置は(x,y,z)となります。

そして、人工衛星と子供の直線距離をrとします。
すると、三平方の定理を何回か使うと、r² = x² + y² + z²となります。
「え?そうなるんだっけ?」という方は、昔の記憶を思い出しながら計算してみてください(笑)

さて、rとは人工衛星と子供の持つGPSデバイスとの距離のことです。
人工衛星と子供の持つGPSデバイスは電波を通じて通信します。つまり、電波の速さと通信に要する時間が分かれば距離rを計算できることになります。
そして、電波の速さは光速と同じです。
つまり、30万km/sのスピードで人工衛星からGPSデバイスへ情報が到達します。
このときに要した時間をtとすると、r = 30万km/s × tが成立します。
これをさきほど三平方の定理から導き出した、r² = x² + y² + z²に代入していきましょう。

そうすると、全体としてこんな感じになります。

これで説明の8割が終わりました。ここからがヤマ場です。
もうちょっとなので、頑張りましょう!
さて、話が少しそれますが、n個の未知数の値を求めるとき、n個の方程式があればOKという話を聞いたことがあるでしょうか?
たとえば、a,b,cの3つの値を求める場合、a,b,cに関する方程式が3つ必要になります。
- a+b+c=6
- 2a+3b−2c=11
- 3a−b+c=4
これを解くと、a=2 、b=3、c=1です。
この例の場合だと、3つの未知数a,b,cに対して、a,b,cに関する方程式が3つあったので解を求めることができました。
もし、a,b,cに関する方程式が2つだと解くことができません。
要は、『n個の未知数の値を求めるとき、n個の方程式が必要』ということを頭に入れておいてください。
では本題に戻ります。
人工衛星と子供の位置関係には、(30万km/s × t)² = x² + y² + z²という方程式が成り立っていましたね。
この方程式には4つの未知数(t,x,y,z)があります。
つまりこの方程式を解くには、式が4つ必要ということになります。

1機の人工衛星につき方程式が1つ成立します。
すなわち、4つの未知数(t,x,y,z)を求めるには方程式が4つ、つまり、人工衛星が4機必要になるのです!
まとめ)GPSの仕組みを図でわかりやすく説明!

以上、『GPSの仕組みを図でわかりやすく説明』と題して、位置情報を測定するためには人工衛星が4機必要になることを説明しました。
実際は更に複雑な計算が必要になりますが、基本原理は上記のとおりです。
お子さんと一緒に考えてみるのもいい勉強になるかもしれませんね!
さて、当ブログではGPSデバイスに関する記事を掲載しています。気になったらぜひご覧ください!
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