山本周五郎『内蔵允留守』のあらすじと感想!奥義に隠された真実とは?

電車などでの移動中は何かと暇なもの。

そんな時はついつい、スマホを触っちゃいますよね。

でも、ちょっと待ってほしい!

もっと面白いものあるよ!

私も電車内でスマホをいじるのが日課でした。そんな私が読書に目覚めたきっかけは、山本周五郎著『内蔵允留守(くらのすけ るす)』です。

それは少し前の出来事でした。

用事が早く終わった私は、少し立ち読みでもしようと本屋をブラブラしていたところ、ふと目に付いたのが本書です。

なんとなく目次を眺めていると、中学校の時の国語の教科書に掲載されていた『内蔵允留守』が収録されていることに気付きました。

昔を懐かしむように最初の数ページ読んでみると、あっという間に引き込まれていきます。

値段自体もさほど高くないので、ついつい買ってしまい、帰宅途中の電車の中で一気読みです!

分量はわずか十数ページなので手軽に読めました。

この本は、『読書しようかな?』と迷っているあなたの良いきっかけとなるハズ!

だまされたと思って本書を手に取ってみてください。

山本周五郎『内蔵允留守』はどんな作品?こんな時に読むといいかも。

『内蔵允留守』は1940年(昭和15年)に当時の大衆雑誌『キング』に発表された短編です。

わずか1o数ページのボリュームですが、最後にはアッと驚く結末が待っています

そのあらすじと感想を一言で表現すると、『極上のエンターテイメント』

とにかく面白い短編なんです!

1~2時間ほどで読み終えられますので、通勤中の暇つぶしにもピッタリ。

でも、いざ読み始めると止まらなくなりますので、乗り過ごしにはご注意ください!

それだけでなく、お子さんの読書感想文の題材にも最適!小学校中学年くらいであれば十分に読み下せます。

小学生が山本周五郎をチョイスしたら、先生も驚くこと間違いなしでしょう。

さて、本作のジャンルを私流に分類すると、サスペンスとヒューマンドラマを足して二で割ったような感じです。

実際に読んでみるとこの意味が分かります。

ちなみに、著者の山本周五郎の作品には時代劇ものが多いことで知られます。時代劇だからといって本当に面白いのか不安に思うかもしれませんが、そこは心配ご無用。

騙されたと思って手に取って見てください。すぐに作品に引き込まれていくハズです。

では、本作のあらすじを紹介します。ネタバレはありませんのでご安心ください!

『内蔵允留守』のあらすじと感想。山本周五郎は偉大だ!

主人公は一人の若い侍。

彼は剣術の腕前を高く評価されていますが、そのような評判に胡坐をかくことなく、さらなる高みを目指しています。

そして、達人と評される別所内蔵允の噂を耳にします。そこで、内蔵允から剣術の奥義を授けてもらうため、彼を訪ねて弟子入りを志願することにしました。

遠路はるばる訪れた主人公でしたが、あいにくの留守。内蔵允宅の近くで農作業をしていた老人によると、彼は旅に出ているとのことでした。

念のため内蔵允の家を訪れてみると、そこにはなぜか数名の侍がいました。

実は彼らも主人公と同じように剣術を学びたいと考えていて、内蔵允宅でその帰りを待っていたのです。

しかし、許可を得ないまま勝手にそこに住み着いて、あたかも内蔵允の弟子であるかのように振舞う輩です。

さらには、まだ若い主人公を一瞥し、馬鹿にしたような口ぶりで接してきます。

すでに主人公の剣の腕前は彼らを上回るほどのものでしたが、無用の争いを避けるため、ここは仕方なく引き返すことにしました。

その帰り道、主人公は先ほどの農夫の老人と再び出会います。

せっかく遠くから来たのだから、ということで内蔵允が戻ってくるまでの間、その老人宅に泊めてもらうことにしました。

ところが、待てど暮らせど内蔵允が旅先から戻ってくる気配がありません。

このままズルズルと居候していては申し訳ないということで、主人公は農作業を手伝うことを申し出ました。

しかし、ここで老人から思いもよらない言葉をかけられます。

『農作業は生易しいものではない』

この言葉に発奮した主人公はさっそく荒れ地を耕し始めますが、その作業は想像以上に過酷なものでした。

主人公の体は悲鳴を上げ、思うように体が動かなくなってしまいます。

普段から剣術で鍛えていたはずなのに、土に鍬を入れて耕すという行為にはまったく歯が立ちません。

そうして、色々な農作業のコツや心得などを老人から教えてもらっている中、季節は夏から秋へと移ります。

当初は少しの間だけ泊めてもらうつもりでしたが、いつしかその滞在期間は数か月に伸び、主人公の心境にも変化が現れはじめました。

時には老人から『今は武士よりも百姓の方が必要だ』などと言われてムッとしたりしながらも、『自分が本当に学ぶべきものは何なのか?』ということを考え直し始めるのです。

この過程において、内蔵允宅に勝手に居座っているさきほどの輩が再び現れ、彼らとの対決シーンなども挟みながら物語は進んでいきます。

こうした事件が起こりながらも、『内蔵允ってずっと留守にしてるけど、いつ帰ってくるの?本当に実在するの?』と疑心暗鬼になりますが、それでも内蔵允をじっと待ち続ける主人公。

居候させてもらっているこの農家の老人とも親しくなり、会話も増えます。

そんななか、老人と交わした会話の中から主人公はついに、まだ見ぬ内蔵允の真実を悟ることになるのです。

そして驚きの決断を・・・。

そもそも、別所内蔵允という人物は実在するのでしょうか?

内蔵允の奥義とはいったいどのような秘術なのでしょう?

主人公は無事に奥義を伝授してもらうことができるのでしょうか?

あらすじをザックリいうと、こんな感じでストーリーが展開していき、最後はアっと驚く結末が。

物語が進んでいくにつれて、氷が徐々に溶けていくように色んなことが分かってきます。

最後の最後で『内蔵允留守』という本作のタイトルの意味が明らかになります。

山本周五郎『内蔵允留守』の読了後の感想。満足度は最上級。

おそらく、これを読み終えた後、

いや~、やられたわ!

となるでしょう、いやマジで。読んで絶対に損はない作品です。

どれくらいの大どんでん返しかとうと、洋画で例えるなら、この映画 (※)に似ています。

こちらの映画も相当に面白いです。『まさか、お前が!』系の映画です。この映画はU-NEXTのお試し期間中なら無料で観られます。私もタダで観ました。

ヤバいくらい面白かったです、ハイ。

2020年9月19日 23:59までの配信なので早めに見ておいた方がいいですよ!

さて本題に戻ります。

山本周五郎作品のすごい点は、ハリウッド映画のようなド派手なアクションシーンがないにもかかわらず、緻密な物語構成で読者を飽きさせないところです。

それは本作においても同様で、派手さこそないものの、その結末には思わず『う~ん』と唸ってしまいます。

個人的には、『道は一つだ。無窮に八方へ通じている。』という言葉が印象に残っています。今の自分を勇気づけてくれる気がしてなりません。

上質かつエンターテイメント性のある「内蔵允留守」は、様々な娯楽に慣れ親しんでいる我々にも十分楽しめる作品でした。

こうした作品が収録されている本は、お金を払ってでも手元に置いておきたいと思わされる作品です(外食を一回分の金額ですね  😉 )。

前述のハリウッドで思い出しましたが、なぜこの作品が映画化されないのか不思議なくらいです。

外国人に大人気のSAMURAIが主人公で、ドンパチも必要ないから低予算で作成できそう。それでいて上質なサスペンスとドラマが盛り込まれているのに…。

以上、山本周五郎『内蔵允留守』のあらすじと感想を紹介しました。

(※映画に関する本ページの情報は2020年9月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。)

山本周五郎ってどんな人?

『内蔵允留守』の作者である山本周五郎は、1903年に山梨県で生まれました。

小学校3年生の時には、担任の先生から小説家になることを勧められるなど、周囲からその才能を見込まれていたそうです。

小学校卒業後は、神奈川県の質店に住み込みの丁稚として働きはじめます。

彼にとって、この質屋の主人との出会いは非常に大きいものでした。

この主人はもともと文学好きだったようで、周五郎の才能を早くから見抜きます。そして彼に学費を出してあげて学校に通わせるなど、まるで親のような愛情をもって彼に接していました。

周五郎もそれを恩と感じており、勉強に励んでいたそうです。

その後、大震災により、それまで勤めていた質店が丸焼けになったのを機に作家として活動を始めます。

この時のペンネームが『山本周五郎』

そう、実は彼の本名は『山本周五郎』ではありません。自分が恩義に感じている質屋の主人の名前を使わせてもらったのです。

その後は精力的に執筆活動を続け、数多くの名作を世に発表して人気を博します。

そして、様々な文学賞にノミネートされますが、いずれも受賞を辞退。

ちょっと変わった人であったのかもしれませんが、こうしたエピソードを聞くと、『地に足を付けて着けて、実直に前を向いて歩いていく』、そんな作風と重なるものがあるように思えますね。

では、今回はこんなところで失礼します!

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